こんにちは。
西中島南方・新大阪の税理士事務所、フラッグシップ税理士事務所です。
前回の記事、「会社役員やサラリーマンの300万円以下の副業は雑所得に?」の続編です。
令和4年8月、「所得税法基本通達」という国税の内部規定の改正について、以下の内容についてのパブリック・コメント手続(意見公募手続)が行われました。
その後、8月31日までに7,059件(通常の70倍!)のパブリック・コメントが寄せられ、その大半が反対意見だったということで、国税庁は「雑所得」として取り扱う基準を大幅に見直した通達の改正を発表しました。
○ 法第 35 条((雑所得))関係
(業務に係る雑所得の例示)
国税庁 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf
35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。
⑺ 営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得
(注)事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。
なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が 300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。
この文面だけを見ると、帳簿書類を作成して保存さえしていれば、収入金額にかかわらず無条件に「事業所得」として取り扱われるように読めますが、実際はそうではありません。
この通達の解説欄において、国税庁はこのようにも記載しています。
(注)その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
国税庁 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
例えば、その所得の収入金額が、例年、300 万円以下で主たる収入に対する割合が 10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。
※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合は、「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます。
※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。
つまりは、基本的には帳簿書類を作成して保存していれば「事業所得」として取り扱うが、①副収入が主たる収入に対してあまりにも少ない場合(10%以下の場合)や、②概ね3年にわたって赤字を垂れ流している場合(給与所得との損益通算を目的とした租税回避行為のような場合)には個別に判断し、「雑所得」として取り扱うこともあり得る、ということです。
そもそも①や②のような場合は、社会通念上からも「事業」と称する活動とは言い難いことから、本改正は妥当なものであると考えられるのではないでしょうか。
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